日本人の寿命は他国と比較しても長く、充実した医療や健康志向の食事などが国際的に注目されています。しかし、寿命が延びても病気で寝たきりの状態が長く続くのでは、あまり評価されないかもしれません。高齢者になっても元気に活動できる期間が長ければ、幸せを感じることができるでしょう。そこで、健康を維持したまま長生きできる健康寿命の長さが問題となります。健康寿命を延ばすためには、高齢者になってからの生活習慣も大切ですが、若い頃から暴飲暴食を避け適度な運動と睡眠を心がけ、精神的安定を保つことが重要です。若い頃に無理をすると、そのしわ寄せが高齢になってから現れるでしょう。
高齢者になったら、弱ってきた身体を労るとともに、高齢者なりの鍛錬を怠らないことも大切です。高齢者だから疲れやすいといって、歩行を避けて車に頼ったり運動を面倒くさがったりすると、身体の衰えが加速化してしまいます。高齢者の身体を守るためにバリアフリーが提唱されていますが、全く障害物の無い環境で暮らしていると益々足腰の動きが悪くなり転びやすくなるというデメリットもあるのです。坂道の多い住宅街は、足腰の弱い高齢者が歩くには困難ですが、短距離であれば多少の坂道があった方が高齢者の健康維持には役立つと言われています。また、定年を迎え仕事を引退しても、自宅に籠もらず多くの人と会って交流する機会を設けることも忘れてはいけません。他人と交流することにより、様々な刺激を受けて脳が活性化します。人間関係にはストレスが付きものですが、多少のストレスは脳への良い刺激になるため、認知症予防のつもりで交流範囲を広げることも大切でしょう。